そうだ、歩きで東京いこう。
ふとそう思い立ったのは2年前の今と同じ時期、7月のことだった。
当時1年以上大学と家とバイトのトライアングルを規律正しく往復していた私は、少しその枠を外れて遠出する、「旅行」という娯楽に魅せられていた。
それは丁度夏休みに入った頃で、学校の友達は皆旅行に行き、タイの大仏の前で寝転がってピースをしている写真や、シンガポールの名前は忘れたけど有名なホテルの最上階にあるプールでビキニ姿ではしゃいでいる写真(全然そそらない)や、外国の偉い偉いカンファレンスに行ってきたよデュフフ刺激受けた刺激刺激俺が世界を変えてやるといった意識高い(風)の投稿が、突如としてFacebook上に迷惑な事に沸き始めていた。
私がそんな皆のリア充アピール合戦を、クーラーの効いた部屋の中で呑気に鼻くそをほじくりながら「青春楽しんでるなぁ」なんてちょっと大人っぽい台詞を吐いてみせながらも、内心強烈な嫉妬心を抱いていたことは言わずもがなである。
そしてその頃の私はどう大学生活を最大限にEnjoyし尽くそうかと日々自問自答を繰り返す、割とアクティブで真面目で爽やかオーラ全開のキラキラリア充スーパー美青年だったので、鼻くそを拭くティッシュを探しながら「ウムム」と考えたのだった。
ボーっとGoogleマップを拡大したり縮小したりを繰り返す私。
「アメリカ」、「フランス」、「ジャポン」。
各国を眺めては口に出して一々呼んだ。
すると、「そういや俺ジャポンのカピタルセテイにヴィジットしたことなかったな」
なんて事をふと思い出した。
日本人なら異国より先ず東京を見とかんといかんぜよ!
んだべ、東京さ行くべ!じぇじぇじぇ!
オラこんな村嫌だ、東京へ出るだ~、東京へ行ってべコ飼うだ~!
というわけで私の腹は決まった。
「お金を貯めて東京へ行く」その目標が立ったこの日が、私のポケモンマスターへと続く長い長い道のりのスタートラインとなったのだった。
EDBGM「あーなりたいなーポケモンなんとかにー、ふふふふん、ふふふふん、絶対なってーやるー」
続く(オーキド博士風)。